会津猪苗代合戦記 ―摺上原の戦―
伊達家創作アンソロジー『ダテモノ』 参加作品です。本を頒布中のため、2010年3月までは見本として一部掲載。
全文は「ダテモノ」でお願いします m(_ _)m
猪苗代湖を渡る風が雲を吹き散らしてゆく。
南西に覗く空の青が、だんだんとその面積を増していた。
まだ水面の見える水田が光を浴びてきらめく。
(――きれいだ、)
と、伊達成実は、山を下りる道から猪苗代の光景を見つめた。
だが、その田を耕す百姓たちは、山の中へ引き退いている。
まもなく合戦が始まるからだ。
(――会津に入る、)
と、成実は身を震わせた。気持ちが昂ぶるのを抑えられない。
会津を攻略するのは長年の悲願だ。今回訪れたようやくの好機。だがそれは大きな賭けでもある。それゆえ、よけいに気が逸るのだ。
「駆けるぞ」
成実は猪苗代城に向かい、馬腹を蹴った。
(中略)
月は既に沈んだ闇夜である。
十数騎を供に連れ、松明をかかげて進んだ。小十郎と、案内役の盛国も一緒である。
酸川野というところまで来たとき、小十郎が
「――あれに」
と指さした。
闇の中に、さらに濃い闇の山がある。
その闇の中を、灯火の列が見え隠れに近づいてきていた。
成実は馬を降り、その灯火の列を眺めた。小十郎が、盛国が、皆が馬を降りてその隊列を見た。
眺めているうちに、不意に目頭が熱くなった。胸も熱い。
(――まことにお越しになった!)
成実は身じろぎもせず、手綱をきつく握りしめて灯火を見つめた。
周りの兵からも、
――おお、
と、声が起こった。猪苗代盛国などは、顔をくしゃくしゃにしている。
小十郎が兵に指示して、猪苗代城へ先導を始めた。
列の後ろの方に、松明に照らされ、黄金の日月が浮かびあがった。
政宗の馬験と前立である。
「――来たぞ」
と、政宗が馬上から声をかけた。
盛国が必死に御礼の口上を述べていた。
「ご出馬はご無用と申し上げたはず――」
危ういことをするな、という忠言をあっさり無視されたことに、成実は苦情を云った。だが政宗には強がりにしか聞こえまい。実際、胸が踊り口角があがる。
「つれないことを云うな」
政宗の声が快活に弾んでいる。
「それよりも、飯だ」
夕飯を食わせずに来たからな、と政宗が言い終わりもせぬうちに、
「承りまして」
盛国が伝令を城に走らせた。
(後略)
Museum Shop
【楽天】戦国&伊達なお買い物はこちら!
【楽天】日本を元気にしようプロジェクト みんないいかも福島県
【楽天】日本を元気にしようプロジェクト 「伊達」なみちのくの中心地! 宮城県
【楽天】日本を元気にしようプロジェクト 旬 北海道
JA伊達市通販サイト 藤五郎トマトやお米「伊達武者」など
日本の古本屋
戦国時代の本




